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世界の化学品・素材・エネルギー産業 週間レビュー(2025年8月18日〜24日)

  • zhang Claire
  • 8月24日
  • 読了時間: 4分

過去一週間、世界の化学品、材料、エネルギー産業では、合併・買収、規制強化、技術的ブレークスルー、エネルギー転換を中心とする一連の重要な動きが見られました。これらの出来事は企業戦略に影響を与えるだけでなく、投資家や業界専門家に新たな洞察を提供しています。

I. 化学品セクターの最新動向

1. Air Liquide が韓国 DIG Airgas を買収

  • 出来事: 8月22日、Air Liquide は 約33億ドル(28.5億ユーロ) で DIG Airgas を買収すると発表しました。この取引には60の工場とパイプライン網が含まれ、2026年上半期に完了する見込みです。

  • 業界の意義: これは Air Liquide にとって近年最大規模の買収であり、半導体やバッテリーなどの高成長セクターにおける競争力を強化します。

  • 影響: 地域統合の加速が見込まれる一方、中期的には統合コストが発生する可能性があります。しかし長期的には市場シェアと収益性の向上が期待されます。

2. ECHA が PFAS 制限案の適用範囲を拡大

  • 出来事: 8月20日、欧州化学品庁(ECHA)は PFAS 制限案の第14版改訂 を発表し、印刷、シーリング、軍事、製薬など8つの追加産業を対象にしました。また、濃度上限と条件付き使用免除が設定されました。

  • 業界の意義: 欧州は持続性のある有害化学物質の規制を強化しています。

  • 影響: 企業は短期的にコンプライアンスコストと技術開発圧力の増加に直面しますが、長期的には持続可能な競争力の強化につながります。

3. 住友化学、エタノールからプロピレン生成プロセスの試験運転

  • 出来事: 8月21日、住友化学は エタノールからプロピレンを生成する試験プロセス の成功を報告し、2030年代初期の商業化を目標としています。

  • 業界の意義: 化石燃料由来原料からバイオベース原料への転換を推進します。

  • 影響: この技術は化学業界に低炭素代替ルートを提供し、脱炭素化目標の達成を支援する可能性があります。

4. 米国化学会(ACS)、大学院研究に資金提供

  • 出来事: 8月21日、米国化学会(ACS)は、化学産業に影響を与える研究を推進する大学院生プロジェクトに 250万ドルの資金 を提供すると発表しました。

  • 業界の意義: 次世代の研究開発能力とイノベーション人材を強化します。

  • 影響: 将来の化学技術や応用分野における研究開発パイプラインを支援します。

II. 材料セクターの最新動向

建築用接着剤およびシーラント市場の成長

  • 市場概要: 世界の建築用接着剤・シーラント市場は、2031年まで 年平均成長率(CAGR)3%超 が見込まれています。都市インフラ開発や持続可能な建材需要が主要な成長要因です。

  • 最近の動向: 中国では2025年8月下旬に「反内紛」テーマ投資の影響で、化学・建材分野への資本流入が増加しました。

  • 影響:

    • 業界関係者: グリーンかつ高性能な材料でのイノベーション機会。

    • 投資家: 接着剤・シーラント供給チェーンにおける構造的投資機会。

III. エネルギーセクターの最新動向

1. Santos の利益減少

  • 出来事: 8月18日、オーストラリアの第二大ガス生産者 Santos は、LNGおよび原油価格の下落により、上半期利益が 22.3%減 と報告しました。

  • 影響: 化石燃料市場の短期的価格変動リスクを示唆。投資家は短期的な不確実性に注意する必要があります。

2. ウクライナ関連のロシア石油供給への影響

  • 背景: 無人機攻撃などの軍事行動により、ロシアから欧州への石油供給が断続的に妨げられています。

  • 出来事: 8月、Novoshakhtinsk 精油所での火災など、紛争による供給中断が報告されました。

  • 影響: 欧州市場では供給制約が価格変動を持続させ、エネルギー安全保障への懸念が高まります。

3. 中国、クリーンエネルギー基盤整備を推進

  • 出来事: 中国は ±800 kV 特高圧直流送電線(寧夏–湖南)を稼働し、再生可能エネルギー統合と家庭用電力需要拡大を支援しています(2025年8月現在)。

  • 影響: 中国の持続可能エネルギー目標と送電網の近代化を支援。

IV. 総合的な洞察

  1. 業界統合と拡大の傾向が顕著

    • Air Liquide による約33億ドルの買収は、地域統合の加速を示しています。

  2. 規制強化がグリーン転換を促進

    • ECHA の PFAS 制限案は規制強化を示しており、企業は短期的コスト増を伴いながらも代替技術の開発を加速する必要があります。

  3. 技術革新と持続可能性が成長の原動力

    • 住友化学のバイオベース技術、ACS の研究支援、建材市場の安定成長はいずれも強いイノベーションの推進力を示しています。

  4. エネルギー市場の変動とグリーン基盤整備が共存

    • 化石燃料の価格変動や地政学リスクが続く一方、中国などの基盤整備投資は長期的なクリーンエネルギー機会を開きます。

 
 
 

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